遺産分割Q&A

特別受益について教えて下さい。

特別受益とは、被相続人(亡くなった人)から遺贈や生前贈与を受けた相続人がいるときに、相続人間の公平を図るため、相続分を調整する制度です(民法第903条)。

例えば、遺言により特定の相続人が遺贈を受けた場合、婚姻や養子縁組のために生前贈与を受けた場合などに特別受益が問題になります。

 

◆特別受益が認められる場合の具体的相続分の計算方法

特別受益が認められる場合の具体的相続分の計算方法は次のとおりです。

①「みなし相続財産」=「相続開始時の相続財産」+「特別受益になる贈与の額」

※遺贈の額は相続開始時の相続財産に含まれているので加算する必要はありません。

②「一般の具体的相続分」=「みなし相続財産」×「各自の法定相続分」

③「特別受益者の具体的相続分」=「一般の具体的相続分」-「特別受益になる遺贈または贈与の額」

 

例えば、被相続人の遺産が5000万円、相続人が息子と娘の2人、息子が自宅購入資金として1000万円の生前贈与を受け、これが特別受益と認められる場合、息子と娘の具体的相続分は次のとおりになります。

①「みなし相続財産」:5000万円+1000万円=6000万円

②「一般の具体的相続分」(娘の具体的相続分):6000万円×1/2=3000万円

③「特別受益者の具体的相続分」(息子の具体的相続分):3000万円-1000万円=2000万円

 

◆特別受益が問題になる者
特別受益を受けた者として持戻しをする必要があるのは「共同相続人」です(民法第903条第1項)。
したがって、相続人の配偶者や子に対する生前贈与は一般的には生前贈与にはあたりません。
ただし、相続人の配偶者などに対する贈与が実質的には相続人に対する贈与と異ならないと認められる場合には、相続人の特別受益とみなされる場合もあります(福島家白川支審昭55・5・24家月33・4・75)。

 

◆特別受益が問題になる事例

 

①婚姻・養子縁組のための贈与
持参金や支度金、嫁入り道具などについては、特別受益にあたるとされるのが一般的です。
他方、通常の結納金や挙式費用については、特別受益にあたらないとされるのが一般的です。

 

②生計の資本としての贈与
子の独立資金や事業資金の贈与、土地や建物の贈与は、「生計の資本としての贈与」として特別受益にあたります。
他方、生活費の援助など、親子・親族の扶養義務の範囲内と認められる場合には特別受益にあたりません。

 

③学費・留学費用
大学の学費や留学費用については、被相続人の資産や社会的地位などに照らして親子の扶養の範囲内と認められるかどうかによって、特別受益にあたるか否かが判断されます。
また、兄弟姉妹間には著しい不公平があるかどうかも、特別受益の判断要素の一つとなりえます。

 

④債務の支払い
被相続人が相続人の保証人になるなどして相続人の債務を支払った場合には、生前贈与にあたり、特別受益と認められる場合があります(高松家丸亀支審平3・11・19家月44・8・40)。

 

⑤生命保険金
生命保険金については、相続財産ではないため、特別受益にあたらないのが原則です。
ただし、共同相続人間で生じる不公平が民法第903条の趣旨に照らし、到底是認することができないほどに著しいと評価すべき特段の事情が存する場合には、同条の類推適用により特別受益の持戻しの対象になるとされています(最判平16・10・29判時1884・41)。
特段の事情の有無については、保険金の額、この額の遺産総額に対する比率のほか、同居の有無、被相続人の介護等に対する貢献の度合いなどを総合考慮して判断されます。

 

⑥死亡退職金などの遺族給付
死亡退職金などの遺族給付についても、上記生命保険金と同様、相続財産ではないため、特別受益にあたらないのが原則です。
ただし、上記生命保険金と同様、共同相続人間で生じる不公平が民法第903条の趣旨に照らし、到底是認することができないほどに著しいと評価すべき特段の事情が存する場合には、特別受益の持戻しの対象になる場合もありうると考えます。

 

⑦使用貸借
被相続人の土地に相続人の一人が建物を建てて土地を無償で使用している場合のように被相続人と相続人との間に使用貸借契約が成立している場合、使用貸借権相当額が特別受益にあたるとされる場合があります。

 

◆特別受益の持戻しの免除
上記のように特別受益にあたると認められる場合であっても、被相続人の持戻し免除の意思表示が認められる場合には、持戻しをしなくて良いことになります。
この持戻し免除の意思表示は,遺贈については遺言によってなされる必要がありますが、生前贈与については黙示の意思表示であっても良いとされています(東京高決平8・8・26家月49・4・52)。
実務では、この持戻し免除の意思表示があったか否かが重要な問題になります。

 

◆特別受益の計算方法
特別受益の額を評価する時点は、贈与時ではなく、相続開始時になります(最判昭51・3・18民集30・2・111)。
したがって、金銭が生前贈与された場合には、贈与当時の貨幣価値から相続開始時の貨幣価値に換算することになります。

 

◆特別受益の協議がまとまらないとき
特別受益について協議がまとまらないときは、調停や審判によって定めることになります。

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