相続税申告の流れと注意点

遺産の評価額が基礎控除を超える場合、相続税を申告しなければなりません。期限に遅れずスムーズに申告できるよう、流れを把握しておきましょう。

相続税申告の流れ

  1. 相続人の特定
  2. 遺産内容の調査を行う
  3. 遺産の評価を行う
  4. 遺産分割協議を行う
  5. 相続税が発生するかどうかを確認
  6. 相続税を計算する
  7. 相続税の申告を行う

以下でそれぞれのステップについて詳しくみていきましょう。

1.相続人の特定

次に相続人を特定しなければなりません。

被相続人の生まれてから亡くなるまでのすべての戸籍謄本、除籍謄本、改正原戸籍謄本などを取得して、相続人の特定に必要な親族関係を洗い出しましょう。孫や親、兄弟姉妹などが相続する場合には、複数の戸籍が必要となり、取得自体が大変になる場合もあります。

2.遺産内容の調査を行う

相続税が発生するかどうか確認するためにも、遺産内容を明らかにしなければなりません。

金融機関へ照会したり証券会社へ問い合わせたりして、遺産内容を確認しましょう。

借金や未払金などの負債も調べる必要があります。

3.遺産の評価を行う

遺産内容が明らかになったら、相続税評価を行いましょう。

各相続財産について、相続税を計算する際の評価方法が決まっています。たとえば土地であれば「相続税路線価」を用いる場合がありますし建物であれば「固定資産税評価額」を用いて計算します。

資産と負債それぞれを評価できたら、財産目録を作成しましょう。

財産目録とは、遺産内容をまとめて一覧表です。資産の部と負債の部に分けて評価額を書き込み、資産と負債を差し引きしましょう。

4.遺産分割協議を行う

相続人と相続財産が明らかになったら遺産分割協議を行います。遺産分割協議とは、遺産の分け方を決めるための相続人全員による話し合いです。

遺産分割協議が成立するには、相続人全員が合意しなければなりません。

全員が遺産分割方法について合意できたら、遺産分割協議書を作成しましょう。

遺産分割協議書は相続税の申告時に必要となりますので、適切に作成する必要があります。

書き方がわからない場合には弁護士や税理士などの専門家へ相談してください。

5.相続税が発生するかどうかを確認

遺産相続しても、常に相続税が発生するわけではありません。

相続税がかかるのは「遺産から負債と葬儀費用を差し引いた額が基礎控除を超えるケース」のみです。

相続税の基礎控除は以下のとおりです。

  • 3000万円+法定相続人数×600万円

たとえば配偶者と1人の子どもが相続人となるケースでは4200万円まで相続税がかかりません。配偶者と2人の子どもが相続人となるケースでは、遺産額が4800万円を超えると相続税がかかります。

課税対象価額を算出するときには、「遺産の資産額から負債額と葬儀費用を控除」します。

資産額から負債額と葬儀費用を差し引いた残額が基礎控除を超えるかどうかで相続税の金額が決まるので、間違えないように計算しましょう。

6.相続税を計算する

次に相続税を計算します。

相続税の計算方法については以下の記事で詳しく解説しているので、ご参照ください。

暦年課税制度とは

7.相続税の申告を行う

相続税を計算できたら、相続税の申告書を作成して管轄の税務署へ提出し、相続税の申告と納税を行います。相続税の申告納付の期限は「相続開始後10か月以内」なので、遅れないよう早めに準備しましょう。

7-1.相続税の申告方法

相続税は、被相続人の住所地を管轄する税務署で申告し、納付します。相続人の住所地ではないので間違えないようにしましょう。

相続税の申告書は税務署へ持参してもかまいませんし、郵送でも提出できます。

7-2.相続税の納付方法

相続税の納付方法には、金融機関等での現金納付、電子納税、クレジットカード納付の3つの方法があります。

1 金融機関等での納付

金融機関又は所轄税務署の窓口で、現金に納付書を添えて納付する方法です。

2 電子納税

自宅や事務所などからインターネット等を利用して納付する方法です。

詳しくは、e-Taxホームページをご覧ください。

3 クレジットカード納付

インターネット上でのクレジットカード支払の機能を利用して、国税庁長官が指定した納付受託者へ、納付の立替払いを委託する方法です。

クレジットカード納付では、納付税額に応じた決済手数料がかかります。

8.相続税申告の注意点

相続税を申告する場合には、以下の点に注意しましょう。

8-1.遺産に漏れがないように注意

相続税を申告する際には、遺産をすべて申告しなければなりません。

意図していなくても漏れがあると、後に修正申告が必要になって延滞税などを加算される可能性があります。

不正確な申告書を作成すると税務調査も入りやすくなるものです。

正しく申告書を作成する自信がない場合には税理士へ依頼しましょう。

8-2.計算を間違えないように注意

相続税を申告する際には、正しく計算しなければなりません。各遺産を正しく評価することはもちろん、相続税には各種の特例などがあるので、適用できるものがないかを確認することが必要です。

税理士に依頼せず自分で申告書を作成すると、控除を適用せず相続税を払いすぎてしまう方もいます。相続税を払いすぎても税務署は指摘してくれません。

8-3.遺産分割が相続税申告期限に間に合わない場合

遺産分割が相続税の申告期限に間に合わない場合、小規模宅地の特例や配偶者控除などを適用できません。ただし所定の書面を提出しておくと、3年以内に遺産分割できたときに払いすぎた税金を還付してもらえます。

対処方法を誤ると不利益が大きくなるので、遺産分割が相続税申告期限に間に合わないときには税理士に相談するのが良いでしょう。

金沢の「まるっと相続」では税理士や司法書士、弁護士などの専門家が相続人様を強力にサポートしています。相続税申告で迷われたときにはお気軽にご相談ください。

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