遺産の範囲に争いがある場合の対処方法

遺産の範囲に争いがあると、遺産分割協議では解決できないケースが多数あります。話し合っても合意できなければ、訴訟を起こさねばなりません。

今回は、遺産の範囲に争いがあるとどういった問題が発生するのか、解決方法について解説します。

他の相続人ともめて困っている方は、ぜひ参考にしてみてください。

1.遺産の範囲に争いのあるケースとは

相続人同士で意見が合わず、もめてしまうパターンにはいくつかあります。

  1. 相続人や遺産内容は確定していて「分け方」について意見が合わない場合
  2. そもそも遺産の内容や範囲について争いがある場合
  3. 相続人かどうかについて争いがある場合

上記のうち1の場合、相続人も相続財産も確定しているので、遺産分割協議や調停などで解決できます。

2の場合には、そもそも遺産内容が確定していないので、遺産分割協議で解決するのが難しくなる可能性があります。遺産の内容や範囲に争いがある場合でも、家庭裁判所に対して遺産分割調停・審判を申し立て、家庭裁判所が、審判手続において遺産の範囲を審理判断した上で、分割の処分をすることはできますが、遺産の範囲については確定しません。

また、3の場合にも同様で、そもそも相続人が誰か確定していないので、遺産分割協議を進められません。「相続人が誰か」確定させるには、遺産分割調停・審判ではなく、訴訟を起こす必要があります。

今回は、上記のうち2の問題を取り上げます。

遺産の範囲に争いがある場合の典型例

遺産の範囲に争いがあるパターンとしては、以下の2類型があります。

ある財産について、一部の相続人は「被相続人の遺産に含まれる」と主張しており、他の相続人は「相続人の固有の財産」と主張しているパターン

具体的には、以下のようなケースです。

  • 被相続人名義の預金がある場合において「すでに預金が相続人へ贈与されたけれども解約払い戻しや名義変更などの手続きが済んでいないだけ」と主張される場合
  • 相続人名義の預金があるけれども「名義預金」で、「実際には被相続人の財産が入金されている」と主張される場合
一部の相続人が「遺産が一部しか開示されておらず、他にも遺産があるはず」と主張しているパターン

具体的には、以下のようなケースです。

  • 被相続人(父親)と同居していた長男に対し、他の兄弟が「もっと遺産があるはず、長男が預金や現金を隠している」と主張している場合

上記のような場合、遺産分割協議を始めるのも難しくなってしまう可能性があります。

2.遺産の範囲を確定する手続きは「民事訴訟」

遺産の範囲に争いがある場合、そのままでは遺産分割協議や調停を進めるのが困難になります。

たとえば、ある財産について遺産に含まれるかどうかが争われている場合、その財産を分割対象にできるかどうかについて合意できていないので、遺産分割協議では主張が平行線になってしまうでしょう。

このように、遺産の範囲について争いがある場合の手続きは「民事訴訟」です。具体的には「遺産確認訴訟」という手続きによって遺産内容を確定させる必要があります。

2-1.遺産確認訴訟とは

遺産確認訴訟は、ある財産が遺産に含まれるかどうかを確定するための訴訟です。

たとえば、A銀行における被相続人名義の預金があり、その預金が遺産に含まれるかどうか争われているとしましょう。

この場合において、A銀行の預金が遺産に含まれるかどうかを裁判所に判断してもらうのです。その判断が確定すれば、判断内容をもとに遺産分割協議を進められます。

なお、遺産確認訴訟は民事訴訟なので、遺産分割調停や審判とは異なる手続きです。

申立先は家庭裁判所ではなく地方裁判所となりますし、話し合いではなく書面提出の応酬によって手続きを進めます。

調停より高度な法律知識が必要となるので、弁護士によるサポートが必須といえるでしょう。遺産確認訴訟を起こす場合には、弁護士へ相談すべきです。

2-2.遺産確認訴訟の注意点

遺産確認訴訟は「ある財産が遺産に含まれるかどうかを確認する手続き」なので、訴訟を起こすには「何らかの遺産」を具体的に指摘しなければなりません。

たとえば、「長男がどこかの金融機関の預金を隠し持っている。どこの金融機関かはまったくわからない」と主張しても通らないと考えるべきです。裁判所がどこの金融機関かを特定してくれることはないので、事前に自分でどういった金融機関の口座があるのかは特定しなければなりません。

たとえば、「B銀行の兄名義の口座には、実際には父親のお金が入っていて名義預金なので、遺産に含めるべき」などの主張であれば遺産確認訴訟で解決できます。

3.遺産の範囲に争いがあっても調停や審判ができる

遺産の範囲に争いがあっても、遺産分割調停や審判ができるケースはあります。

たとえば、一部の相続人から「遺産が一部しか開示されていない、他の遺産が隠されている」と主張される場合、現在開示されている一部の財産のみの「一部分割」が可能です。協議だけではなく、調停や審判でも一部分割が認められています。

ただし、一部分割したケースで後から新たな遺産が発見されると、あらためて分割しなければなりません。二度手間になってしまう可能性はあります。

また、遺産の範囲に争いがある場合に、必ずしも民事訴訟による判決の確定を待ってから、家庭裁判所が遺産分割の審判をすべきというものではなく、遺産の範囲は確定しないものの、家庭裁判所が、審判手続において遺産の範囲を審理判断した上で、遺産分割の審判をすること自体は可能です。

4.遺産分割は専門家へお任せを

遺産の範囲に争いがあると、遺産分割調停や審判を申し立てても解決できないケースもあります。解決するには遺産確認訴訟を提起しなければなりません。

どういった対応が必要となるかはケースバイケースであり、適切な選択をするには法律の専門的な判断が必要です。有利に進めるには弁護士によるサポートが必須となりますので、お困りの際には金沢の「まるっと相続」の専門家へお任せください。

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