不動産を贈与するときにかかる税金

不動産を生前贈与すると、贈与税や不動産取得税などの税金がかかります。

具体的にどのような税金がどの程度発生するのか、知識をもってから贈与を行いましょう。

今回は不動産を生前贈与するときに発生する税金の種類や計算方法、控除制度をお伝えします。相続税の節税対策を検討されている方はぜひ参考にしてみてください。

1.贈与税

財産の贈与を受けると「贈与税」がかかります。贈与税は、贈与を受けたときに贈与額が一定額を超えると発生する税金です。

贈与税には「1年に110万円」の基礎控除があるので、110万円までは贈与税がかかりません。不動産の場合、評価額が110万円を超えるケースがほとんどなので、多くのケースで贈与税が発生するのです。

贈与税がかかる場合、贈与を受けた翌年の2月1日から3月15日までの間に贈与税の申告をしなければなりません。

1-1.贈与税の計算方法

贈与税は、以下のように計算します。

STEP1 不動産を評価する

まずは不動産を適正に評価しなければなりません。

土地と建物で評価方法が異なるので、間違えないように評価額を求めましょう。

土地の場合

相続税路線価を用いて計算します。相続税路線価とは、全国の道路に面した宅地に設定されている「1㎡あたりの単価」です。路線価に土地の面積をかけ算すると、土地の評価額を求められます。

路線価の設定されていない場所では「評価倍率」を用います。評価倍率が適用される場合、評価倍率に固定資産税評価額をかけ算すれば評価額を求められます。

建物の場合

建物の場合には固定資産税評価額をそのまま用いて評価します。

STEP2 贈与税の基礎控除を差し引く

不動産の評価ができたら、贈与税の基礎控除を差し引きます。

贈与税の基礎控除は110万円なので、110万円はマイナスできるのです。

配偶者控除が適用される場合には、さらに最大2000万円を控除できます。

こうして贈与税の課税対象価額が算出されます。

STEP3 贈与税の税率をかけ算する

課税対象価額が算出されると、そこに贈与税の税率をかけ算しましょう。

贈与税の税率には2通りがあります。①贈与により財産を取得した者(贈与を受けた年の1月1日において18歳(注)以上の者に限ります。)が、直系尊属(父母や祖父母など)から贈与により取得した場合と、②それ以外の場合です。

①直系尊属から18歳以上の直系卑属への贈与
課税価格税率控除額
200万円以下10%なし
400万円以下15%10万円
600万円以下20%30万円
1,000万円以下30%90万円
1,500万円以下40%190万円
3,000万円以下45%265万円
4,500万円以下50%415万円
4,500万円超55%640万円
②その他の一般的な贈与
課税価格税率控除額
200万円以下10%なし
300万円以下15%10万円
400万円以下20%25万円
600万円以下30%65万円
1,000万円以下40%125万円
1,500万円以下45%175万円
3,000万円以下50%250万円
3,000万円超55%400万円

1-2.贈与税計算の具体例

贈与税を実際に計算すると、以下のようになります。

路線価15万円で40㎡の土地(一路線に面している宅地)と固定資産税評価額が500万円の建物を、70歳の親が40歳の子どもへ贈与したケース。

STEP1 土地と建物を評価

この場合、土地の評価額は15万円×40㎡=600万円です(奥行価格補正については、説明上、省略します。)。建物は500万円なので、合計すると1100万円分の贈与となります。

STEP2 贈与税の控除を適用

贈与税の基礎控除を適用すると、課税対象価額は1100万円-110万円=990万円となります。

STEP3 贈与税の税率をかけ算

贈与税の税率をかけ算すると、990万円×30%-90万円=207万円

このケースでは207万円の贈与税がかかります。

2.不動産取得税

不動産を贈与すると、贈与を受けた側に不動産取得税も発生します。不動産取得税とは、売買や贈与などの原因で不動産を取得した場合にかかる税金です。

不動産取得税の金額は「固定資産税評価額×3%」です。原則的には固定資産税評価額の4%ですが、土地や住宅用の家屋の場合、軽減特例が適用されるので3%として計算します。

2-1.住宅用建物の不動産取得税軽減措置

一定要件を満たした建物の場合、住宅の価格から一定額が控除されます。

控除額は、新築住宅か中古住宅か、さらに、中古住宅の場合は建築時期によっても異なります。なお、この軽減を受けるためには、申告が必要です。

2-2.住宅用土地の不動産取得税軽減措置

住宅用土地を取得した場合、一定の要件を満たしていれば、土地の税額から一定額(以下のいずれか高い方の額)が減額されます。なお、この軽減を受けるためには、申告が必要です。

  • 45,000円
  • 土地1㎡当たりの価格×住宅の床面積の2倍(200㎡が限度)×3%

不動産取得税がかかる場合には納税通知書が送られてくるので、通知書が届いたら、早めに支払いをしましょう。

3.登録免許税

登録免許税は、不動産の登記を行う際などにかかる税金です。

土地や建物の贈与の場合、登録免許税の税率は固定資産税評価額の2%です。登録免許税は、登記申請の際に納付します。

たとえば評価額が1000万円の不動産土地を贈与するときの登記費用は20万円になります。

相続登記の際の登録免許税額は固定資産税評価額の0.4%なので、登録免許税の金額を比べると、贈与より相続の方が安くなります。

4.配偶者控除

配偶者間で不動産を贈与したときには、配偶者控除制度を使える可能性があります。配偶者控除制度とは、20年以上連れ添った配偶者間で居住用不動産を贈与するとき、最大2000万円までが非課税となる制度です。

基礎控除と併用できるので、最大2110万円までの贈与税がかからなくなります。

婚姻期間が20年以上になる配偶者へ居住用不動産を贈与するなら、配偶者控除を適用して贈与税を申告しましょう。

5.相続時精算課税制度

親や祖父母から子どもや孫へ居住用不動産を贈与する場合、相続時精算課税制度を適用すれば贈与税を抑えられます。

相続時精算課税制度とは、原則として、60歳以上の親や祖父母などの直系尊属から18歳以上の子どもや孫へ生前贈与を行う際、最大2500万円までの贈与税がかからなくなる制度です。

不動産の評価額が2500万円以下であれば、贈与税を払う必要はありません。

ただし、贈与財産は相続発生時に相続財産に組み入れられてまとめて相続税がかかります。また、この制度を選択すると、その選択に係る贈与者から贈与を受ける財産については、その選択をした年分以降すべてこの制度が適用され、「暦年課税」へ変更することはできないので注意が必要です。

無税になる制度ではないので、勘違いしないように注意しましょう。

6.取得資金を贈与するなら親や祖父母から子どもや孫への贈与にも控除を使える

不動産そのものではなく不動産の取得資金を贈与する場合には、直系尊属から直系卑属(18歳以上の者)への居住用不動産取得資金贈与における控除制度を使える場合もあります。

ただし、この控除が適用されるのは、不動産ではなくあくまで取得資金を贈与した場合のみです。住宅ローンを肩代わりした場合にも適用はありません。贈与を行う前に、要件をしっかり確認しましょう。

不動産贈与で節税対策を行いたい方は、金沢の「まるっと相続」へお任せください。まずは、お気軽にお問い合わせいただけましたら幸いです。

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