オーナー社長が死亡した場合の対応について

会社を所有しており、かつ、経営もしている社長、いわゆるオーナー社長が会社の経営をしている場合、唯一の取締役として当該オーナー社長が会社の業務執行を行っていることがあります。

そうすると、オーナー社長が突然死亡してしまうと、会社の業務執行ができなくなり、会社の業務が停滞してしまいます。

今回は、このようなオーナー社長が突然亡くなった場合の対応策について、紹介させて頂きます。

1.一時取締役の選任

オーナー社長が経営している会社で、会社の取締役が当該オーナー社長の一人しかいない場合、オーナー社長が死亡すると、会社の業務執行の決定ができなくなります(会社法348条1項2項)。

したがって、会社としては、新たな取締役の選任をしなければなりませんが、新たな取締役を選任するには、株主総会の招集を行い、取締役の選任決議を行う必要があります。

もっとも、株主総会は、原則として取締役が招集するとされていますので(会社法296条3項)、オーナー社長が唯一の取締役の場合には、株主総会の招集を行う取締役がいないことになり、株主総会の招集を行うことも困難となります。

このような場合には、一時取締役の選任を裁判所に申し立てることが考えられます(会社法346条2項)。

一時取締役が選任されれば、この一時取締役によって、株主総会を招集することができ、その株主総会において新たな取締役を選任することによって、新たな取締役の下で会社の業務執行が可能となります。

2.補欠取締役の選任

このようにオーナー社長が死亡した場合には、株主総会によって新たな取締役を選任しなければ、会社の業務執行ができなくなり、会社の機能が停止してしまいます。

しかし、新たな取締役を選任する場合には、上記のように一時取締役を裁判所から選任してもらい、さらに一時取締役によって株主総会の招集をする等、手間と時間がかかってしまい、その間に会社の業務が遅滞してしまうリスクがあります。

このような事態の発生を防ぐため、あらかじめ補欠取締役を選任しておくことが考えられます(会社法329条3項)。

オーナー社長において、適切な候補者が既に見つかっている場合には、あらかじめ補欠取締役を選任しておくことが適切といえるでしょう。

3.オーナー社長が一人株主の場合

オーナー社長が会社の全ての株式を一人で所有していた場合、オーナー社長が死亡すると、遺産分割が終了するまで、会社の株式は相続人において共有されることになります。

そして、株式を共有することになった相続人は、株主の権利行使者を相続人の中から一人決めて、会社に通知する必要があり、会社に通知された権利行使者だけが株主としての権利を行使することができます(会社法106条)。

相続人において株式の共有状態が発生することを回避させたい場合、あるいは後継者として特定の相続人を指定したい等の事情がある場合には、あらかじめ特定の相続人に株式を相続させる旨の遺言の作成しておくことが考えられます。

まとめ

オーナー社長の経営する会社では、社長死亡に備えてさまざまな対策を練っておく必要があります。

そして、いざ死亡した場合には的確で迅速な対応が要求されます。

お困りの際には金沢の「まるっと相続」の専門家がサポートしますので、お気軽にご相談ください。

ページの先頭へ
menu