相続税を減らすために使える控除と特例10個
相続税には、いろいろな控除や特例の制度がもうけられています。
計算する際には、こうした控除や特例を適切に利用して節税しましょう。
この記事では、相続税を減らすのに使える控除や特例のいくつかをご紹介しますので、これから相続税を計算する場合には、ぜひ参考にしてみてください。
相続税の控除や特例10個
代表的な相続税の控除や特例としては、以下のようなものがあります。
- 基礎控除
- 債務控除
- 配偶者控除
- 未成年者控除
- 障害者控除
- 贈与税額控除
- 相次相続控除
- 小規模宅地の特例
- 生命保険控除
以下で、それぞれの制度について詳しくみていきましょう。
1.基礎控除
相続財産等の合計額が遺産に係る基礎控除額(法定相続人の数によって決まります。)を超える場合に、相続税の申告が必要となります。基礎控除額は、以下の算式で計算します。
- 3000万円+法定相続人数×600万円
法定相続人の数は、相続の放棄をした人がいても、その放棄がなかったものとした場合の相続人の数をいいます。
2.債務控除
相続税を計算するときは、被相続人が残した借入金などの債務を遺産総額から差し引くことができます。
被相続人に借金や未払金がある場合には、遺産総額から債務を差し引くことができる場合があります。
また、葬式費用は債務ではありませんが、相続税を計算するときは遺産総額から差し引くことができます。
たとえば、遺産のうち資産額が5000万円でも、借金が1000万円あれば、5000万円-1000万円=4000万円とします。
この4000万円から基礎控除を差し引いた金額が課税対象額となります。
3.配偶者控除
配偶者控除とは、法律上の配偶者が相続人となるときに使える控除制度です。
被相続人の配偶者が遺産分割や遺贈により実際に取得した正味の遺産額が、次の金額のどちらか多い金額までは配偶者に相続税はかからないという制度です。
- 配偶者の法定相続分相当額
- 1億6千万円
配偶者が相続するなら1億6千万円まで相続税がかからないので、多くの事案において配偶者に相続税はかからないと考えられます。
この配偶者の税額軽減は、配偶者が遺産分割などで実際に取得した財産を基に計算されることになっていますので、相続税の申告期限までに分割されていない財産はこの税額軽減の対象にならないのが原則です(例外あり)。
なお、配偶者控除を適用できるのは、被相続人との婚姻について、婚姻の届出をしている者に限られます。事実上婚姻関係と同様の事情にある者であっても婚姻の届出をしていないいわゆる内縁関係にある者は含まれません。
4.未成年者控除
相続人が未成年者のときは、相続税の額から一定の金額を差し引きます。
相続や遺贈で財産を取得したときに18歳未満である人に、この特例が適用されます。
差し引く金額は、以下の通りです。
- 10万円×(18歳-相続時の年齢)
つまり、成人するまでの1年について10万円分の控除を受けられるということです。
5.障害者控除
相続人が85歳未満の障害者のときは、相続税の額から一定の金額を差し引きます。
控除される金額は、「一般障害者」か「特別障害者」かによって異なります。
5-1.一般障害者の場合
一般障害者に該当する方は、以下のような人です。以下にあてはまらない方の場合も含めて、詳細は、相続税法基本通達19の4-1、同19の4-2などをご確認ください。
- 身体障害者手帳上の障害等級が3級~6級
- 精神障害者保健福祉手帳上の障害等級が2級又は3級
一般障害者の場合、障害者控除の金額は以下の通りです。
- (85歳になるまでの年数)×10万円
5-2.特別障害者の場合
特別障害者となるのは以下のような人です。以下にあてはまらない方の場合も含めて、詳細は、相続税法基本通達19の4-1、同19の4-2などをご確認ください。
- 身体障害者手帳上の障害等級が1級~2級
- 精神障害者保健福祉手帳上の障害等級が1級
特別障害者の場合、障害者控除の金額は以下の通りです。
- (85歳になるまでの年数)×20万円
6.贈与税額控除
相続、遺贈や相続時精算課税に係る贈与によって財産を取得した人が、被相続人からその相続開始前3年以内(死亡の日からさかのぼって3年前の日から死亡の日までの間)に暦年課税に係る贈与によって取得した財産があるときには、その人の相続税の課税価格に贈与を受けた財産の贈与の時の価額を加算しますので、その加算された贈与財産の価額に対応する贈与税の額は、加算された人の相続税の計算上控除されることになります。
7.相次相続控除
今回の相続開始前10年以内に被相続人が相続、遺贈や相続時精算課税に係る贈与によって財産を取得し相続税が課されていた場合には、その被相続人から相続、遺贈や相続時精算課税に係る贈与によって財産を取得した人の相続税額から、一定の金額を控除します。
8.小規模宅地の特例
個人が、相続や遺贈によって取得した財産のうち、その相続開始の直前において被相続人または被相続人と生計を一にしていた被相続人の親族の事業の用または居住の用に供されていた宅地等のうち一定のものがある場合には、その宅地等のうち一定の面積までの部分については、相続税の課税価格に算入すべき価額の計算上、一定の割合を減額することができます。
居住用宅地場合には、価額が80%減となる場合があります。
9.生命保険控除
被相続人の死亡によって取得した生命保険金や損害保険金で、その保険料の全部または一部を被相続人が負担していたものは、相続税の課税対象となります。この死亡保険金の受取人が相続人(相続を放棄した人や相続権を失った人は含まれません。)である場合、次の金額が、非課税限度額となります。
- 500万円 × 法定相続人の数 = 非課税限度額
なお、相続人以外の人が取得した死亡保険金には、非課税の適用はありません。
たとえば、配偶者と2人の子どもが相続人となる場合、1500万円までが非課税になります。
10.相続税のご相談は「まるっと相続」まで
上記でご説明したものに限らず、相続税に関する各種控除や特例についてお困りの方、お悩みの方は、金沢のまるっと相続までお気軽にご相談ください。