遺産分割をやり直した場合の課税関係

遺産分割協議が成立した後であっても、、例外的に、遺産分割協議をやり直せる場合、または、やり直さなければならない場合があります。その場合の課税関係はどのようになるのでしょうか?この記事では、遺産分割をやり直した場合の課税関係について解説します。

1.再度の遺産分割の際の課税関係(原則)

再度の遺産分割の際の課税関係については、相続税基本通達19の2―8ただし書に、次の定めがあります。

「… ただし、当初の分割により共同相続人…に分属した財産を分割のやり直しとして再配分した場合には、その再配分により取得した財産は、同項に規定する分割により取得したものとはならないのであるから留意する。」

すなわち、遺産分割のやり直しは、新たな処分行為となり、財産の変動(譲渡)については、所得税又は贈与税が課税されるということになります。これが原則です。

いったん支払った相続税とは別に、贈与税又は所得税がかかることになりますので、注意が必要です。

さらに、相続で不動産を引き継いだ場合には不動産取得税がかかりませんが、やり直しによって贈与・譲渡が行われたことになると不動産取得税が発生します。また、相続登記の場合には登録免許税が0.4%ですが、贈与や譲渡の場合には2%になります。これらの点についても注意が必要です。

2.再度の遺産分割の際の課税関係(例外)

ただし、次の場合には、例外的に、新たな課税の問題は生じないと考えられています。

なお、再度の遺産分割により、相続税額が過大となった相続人は2か月以内に更正の請求を行うことが可能であり、一方で相続税額が少額となった相続人は修正申告を行うことは可能です。

  1. 当初の遺産分割協議後に生じたやむを得ない事情によって当該遺産分割協議が合意解除された場合
  2. 当初の遺産分割による財産の取得について無効又は取消し得べき原因がある場合

なお、この2でいう、「無効又は取消し得べき原因がある場合」には、次のような場合が考えられます。

  1. 共同相続人の一部を除外して、遺産分割協議が行われた場合(必要な相続人が参加していなかった)
  2. 共同相続人が意思無能力、制限行為能力者である場合
  3. 錯誤、詐欺、強迫があった場合

上記2の制限行為能力者については、相続人が成年被後見人、被保佐人、被補助人かによって取り消すことのできる場合が異なります。また、制限行為能力者の相続人とその者の後見人等である他の相続人との間に利益相反関係がある場合は、特別代理人の選任が必要となります。

上記3の錯誤が問題となるケースとしては、遺産分割協議後に遺言書が発見されたところ、遺言書の内容を知っていたら遺産分割協議に合意しなかった(別の遺産分割協議をしていた)という場合があります。

この場合、遺産分割協議は錯誤取消しの対象となります。

2-1.相続人全員が合意した

3.相続税の相談は「まるっと相続」まで

金沢の「まるっと相続」では、弁護士、税理士、司法書士などの専門家が相続手続、相続税申告などを全般的に取り扱っています。今回の問題を含む、相続税の関係でお困りごとがありましたら、お気軽にご相談ください。

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