遺留分侵害額請求の方法、流れ
遺留分を侵害されたら、侵害した相手に対して「遺留分侵害額請求」ができます。
具体的にどのような方法、流れで遺留分を請求すれば良いのかについて、解説します。
1.遺留分侵害額請求の流れ
遺留分侵害額請求とは、遺言や贈与によって侵害された「遺留分」を取り戻すための手続きです。遺留分とは、兄弟姉妹以外の法定相続人に最低限保障される遺産取得割合をいいます。
例えば、共同相続人のうち1名のみに全財産を相続させる遺言があると、そのままでは他の相続人は遺産を一切取得できないことになります。そのような場合でも、最低限の相続分を相続人に保障しようというのが、遺留分制度です。
遺留分侵害額請求について、詳しくはこちらの記事をご参照ください。
以下で、遺留分侵害額請求の流れを確認しましょう。
STEP1 遺留分侵害額を計算する
遺留分侵害額を請求する前提として、まずは、遺留分侵害額を明らかにする必要があります。
大まかにいうと、まずは、積極財産から債務を控除して、遺留分算定の基礎となる財産額を算出し、それに遺留分率を乗じて、遺留分額を求めます。
それから、遺留分権利者がこれまでに受けた生前贈与や相続によって取得する分を控除して(負担する相続債務がある場合はそれを加算する)、遺留分侵害額を求めます。
計算が若干複雑なので、ご不安がある場合は、弁護士にご相談ください。
STEP2 相手に請求の意思表示を行う
遺留分侵害額があることが明らかになったら、相手方(侵害者)へ請求の意思表示を行いましょう。
遺留分侵害額請求の方法に特別なルールはありませんが、請求の事実やその時期を証拠化するため、内容証明郵便によって、遺留分侵害額請求の意思表示を行うのがよいです。
なお、遺留分侵害額請求は、「遺留分権利者が相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時から一年間行使しないときは、時効によって消滅する。 相続開始の時から十年を経過したときも、同様とする。」とするという期間制限(時効)があります。迷っている間に、時間が経過すると請求できなくなる可能性があるので、くれぐれもご注意ください。
STEP3 交渉する
遺留分侵害額請求の意思表示を行ったら、相手方と交渉しましょう。
いくらの遺留分をどのような形で支払うかを決める必要があります。
交渉の中で、遺産の評価額や生前贈与の額などについて、争いが生じる可能性もあります。
弁護士に依頼すれば、自分で直接相手と話す必要はありません。専門家に任せることで、精神的なストレスを軽減し、法律に照らして妥当な解決を目指すことができます。
STEP4 合意書を作成して支払いを受ける
遺留分侵害額の金額(解決金額)や支払い方法について合意ができたら、合意書などの書面を作成しましょう。
書面なしに支払いを行うと、後日のトラブルが起きる可能性がありますので、合意内容を書面に残しましょう。
STEP5 遺留分侵害額の請求調停を申し立てる
遺留分侵害額請求の意思表示を行っても、返事がない場合や話し合っても合意に至らない場合は、家庭裁判所に遺留分侵害額の請求調停を申し立てることになります。
調停では、家庭裁判所の調停委員会が間に入って話を進めます。ケースによっては、当事者間同士の交渉よりも、合意に近づける可能性があります。
弁護士に依頼すれば、調停の手続を任せることができます。調停期日に一緒に出席することができますし、事前に主張内容をまとめた書面を作成し、裁判所に提出することができます。
STEP6 遺留分侵害額請求訴訟を提起する
調停が不調に終わった場合(合意に至らなかった場合)には、地方裁判所や簡易裁判所に遺留分侵害額請求訴訟を提起しなければなりません。調停の管轄は家庭裁判所ですが、訴訟の管轄は相続開始地(被相続人の最後の住所地)を管轄する地方裁判所(または簡易裁判所)になります。
訴訟対応については、専門的な知識や経験を要しますので、弁護士にご依頼いただくのがベターかと考えます。
2.遺留分侵害額請求の相談は「まるっと相続」まで
金沢の「まるっと相続」では、各種の専門家が遺留分侵害額請求を含む遺産相続のトラブルに積極的に取り組んでいます。お悩みの際には、お気軽にご相談ください。