相続税の計算の方法
「相続税はどのようにして計算するのですか?」
といったご相談を受けるケースがよくあります。
相続税がどのくらいになるのか知りたい方はぜひ参考にしてみてください。
STEP1 遺産を評価する
相続税を計算する際には、まずは遺産を評価しなければなりません。
相続税計算における各種遺産の評価方法は、国税庁によって取り決められています。間違うと修正申告が必要になるケースもあるので、正しい評価方法を知って適正に評価しましょう。
また「相続開始時の評価額」を用いる必要がある(相続税申告時の評価ではない)ので、間違えないようにしましょう。
STEP2 資産から債務と葬儀費用を差し引く
相続税を申告する際には、債務と葬儀費用を差し引けます。
借入金や未払金などのほか、被相続人が納めなければならなかった国税、地方税などで、まだ納めていなかったものなどの債務があれば、相続財産の価額から差し引きましょう。葬式費用も相続財産の価額から差し引かれます。葬式費用には、①お寺などへの支払、②葬儀社、タクシー会社などへの支払、③お通夜に要した費用などが含まれますが、香典返しの費用や法要に要した費用などは含まれません。葬儀の際には費用がどのくらいかかったかわかるよう領収証を保管して、領収証のないものはメモしておくと良いでしょう。
STEP3 相続税の基礎控除を差し引く
資産額から債務額と葬儀費用を差し引いても、その残額全体に相続税がかかるわけではありません。相続税には「基礎控除」があるからです。
相続税の基礎控除は以下の通りです。
- 基礎控除=3000万円+600万円×法定相続人数
たとえば相続人が2人なら4200万円、相続人が3人なら4800万円まで相続税がかかりません。
STEP4 相続税の税率をかけ算する
相続税課税対象額を算出できたらその金額を各相続人の法定相続分に割り振って、それぞれに対し相続税率をかけ算します。
このときには「法定相続分」に割り振った金額を用いるのであり、「実際に遺産分割した割合」ではないので注意しましょう。
相続税率は以下の通りです。
相続税率の表
法定相続分に応じた金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000万円以下 | 10% | なし |
3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
1億円以下 | 30% | 700万円 |
2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
6億円超 | 55% | 7,200万円 |
STEP5 法定相続人ごとの相続税を合算する
各相続人の相続税を計算できたら、その金額を合算します。こうして算出された合計金額がそのケースで課税される相続税の総額です。
STEP6 実際の相続割合に応じて相続税を配分する
相続税の総額を計算できたら、実際の相続割合に応じて相続税を配分します。
このときに初めて遺産分割協議の結果の相続割合を考慮します。
STEP7 控除を適用する
相続税にはさまざまな控除制度が適用されます。
たとえば配偶者が相続する場合には「法定相続分または1億6千万円まで」は相続税がかかりません。
未成年者や障がい者が相続する場合の控除もあります。
こうした控除も適用して求められた最終的な数字が実際に納めるべき相続税額となります。
相続税計算の具体例
実際に相続税を計算するとどのようになるのか、具体例でみてみましょう。
ケース
資産額は1億2500万円、債務額が2000万円、葬儀費用500万円、相続人は4人(配偶者と3人の子ども)。配偶者が1億1000万円の遺産を相続して子どもたち3人は500万円ずつ相続したケース
STEP1、2 遺産の評価と債務や葬儀費用の差し引き
まずは資産額1億2500万円から債務額2000万円と葬儀費用500万円を差し引きます。
すると、残額は1億円となります。
STEP3 相続税の基礎控除を差し引く
次に相続税の基礎控除を差し引きます。
相続人が4人いるので、相続税の基礎控除額は以下の通りです。
- 3000万円+600万円×4人=5400万円
このケースにおける課税対象額は1億円-5400万円=4600万円となります。
STEP4 相続税率をかけ算する
4600万円を各相続人の法定相続分に割り振ってそれぞれに相続税率を掛け算します。
法定相続分は以下の通りです。
配偶者が2分の1
子どもたちはそれぞれ6分の1ずつ
- 配偶者の相続税…2300万円×15%-50万円=295万円
- 子どもたちの相続税…766万6666円×10%=76万6666円
1000円未満の端数があれば切り捨てるので、子どもたちそれぞれの相続税は76万6千円
STEP5 法定相続人ごとの相続税額を合算する
相続人ごとに計算した相続税を合算します。
- 295万円+76万6千円×3=524万8千円
この524万8千円が本件における全体の相続税の金額です。
STEP6 実際の相続割合に応じて相続税を配分する
配偶者が1億1000万円、子どもたちはそれぞれ500万円ずつ相続しています。
- そこで配偶者にかかる相続税は524万8千円×1億1000万円÷1億2500万円=461万8240円
- 子どもたちそれぞれにかかる相続税は524万8千円×500万円÷1億2500万円=20万9920円
となります。
STEP7 控除を適用する
配偶者の場合、法定相続分または1億6千万円まで相続税がかかりません。
よってこのケースでも配偶者控除を適用し、配偶者にかかる相続税は0円となります。
子どもたちがそれぞれ20万9920円ずつ相続税を払えば税金を完納できます。
相続税の計算は税理士へ相談を
遺産相続の際には相続税を正しく計算しなければなりません。間違えると修正申告が必要になって延滞税がかかってしまうおそれもあります。より確実に間違いなく相続税を計算するには税理士によるサポートが必要です。迷ったときには国勢調査官出身の税理士が所属する、金沢の「まるっと相続」までご相談ください。