不動産の活用について宅建士が解説

不動産を相続したものの、その後どうしたら良いかわからないという質問が多くよせられます。どのような活用方法があるのか、売りにくい不動産とはどういうものか、売却するにはどのような費用がかかるのかなど、たくさんの疑問が出てきます。今回は、相続した不動産の活用について宅建士が解説します。

1.相続した不動産の活用方法

一般的に不動産の活用方法には以下のものなどがあります。

アパート・マンションを建てる

ある程度大きい土地で、住環境などの立地が良いところで可能です。初期費用が大きくかかりますが、立地が良ければ安定した収益が期待できます。

一戸建て賃貸する

相続した不動産が一戸建ての場合で、立地の良いところであれば賃貸することが可能です。アパートと比べ戸数が1戸ですので、収益性は低く、水回りなどのリフォームなどの初期投資が必要な場合が多いです。しかし、アパートに比べ、長く住んでもらえることが多く、借りていた方が買ってくれることもあります。

駐車場として貸す

住宅地や商業地などで需要がある場合、月極駐車場やコインパーキングとして可能です。初期投資が少なくて済みますが、収益性は低いです。

コインランドリーを経営する

最近、増えてきています。人件費などの固定費を低く抑えられますが、初期費用が大きいです。また、競合店が増えてくると収益性が落ちてきます。駐車場の確保も必要ですので、広い土地が必要です。

トランクルームを貸す

初期投資が安くすみますが、収益性はあまり高くありません。また、用途地域によっては設置できません。

事業者に土地を貸す

商業施設等のため、事業者に貸します。事業用定期借地権を設定しますので、契約期間満了後、建物を解体し、更地にして土地を返してくれます。初期費用もなく安定した収益が期待できますが、事業者が商業施設を建ててくれないと始まりませんので、利用できる不動産は限られています。

売却する

継続的に家賃収入を得ることはできませんが、確実にまとまったお金を得られます。一戸建てを相続された方が最も選ばれている選択肢です。

2.不動産売却にかかる費用

売却にかかる費用には以下のものなどがあります。

  • 仲介手数料
    売却を依頼した不動産業者に支払う手数料です。
  • 印紙代
    売買契約書に貼り付けます。
  • 解体・残置物処理費用
    一戸建てで更地にして売却する特約がある場合、解体費用がかかります。また、建物内に残置物があり、その処理を業者に依頼する場合も、費用がかかります。
  • 登記費用
    売主側の原因で必要になった登記の費用です。住所変更登記や相続登記、抵当権抹消登記の費用などです。
  • 測量費用
    隣地との境界の確定が必要になった場合など必要になります。
  • 新居の費用
    もし、売却する不動産に住んでいた場合には、引越し費用及び新居のための費用が必要になります。
  • 譲渡所得税
    土地建物などの資産を譲渡することによって生ずる所得にかかる税金です。

3.売却が難しい不動産とは

次に、売却が難しい不動産について見ていきましょう。

需要のない場所にある不動産

不動産を買う人が少なければ、どんなに立派な建物であっても売却は難しいです。

例えば、需要のない土地で、かつ、行政が特定の地域での住居の建築に、補助金を出している場合など、それ以外の土地を買ってくれる人が少なくなり、売却が難しくなります。

市街化調整区域の土地

市街化調整区域とは都市計画法で定められた区域で、市街化を抑制する区域のことです。住宅や商業施設の建築は原則認められませんので、売却が難しくなります。

旗竿地

旗竿地とは、道路に接している細い土地の奥に大きな土地がある形状の土地をいいます。竿に旗をつけたような形状しています。駐車をしにくい、日当たりが悪くなりやすいなどのデメリットがあります。

道路に接してない土地

道路に全く接していない土地は、再建築不可物件となり、建物を新たに建てることができません。

4.注意すべきポイント

商業地、住宅地、郊外にある土地、古家付の土地など、一口に不動産といっても、多種多様です。したがって、活用方法も多様になります。まずは、自分がどうしたいのかをはっきりさせてから、検討に入るのが迷わなくてすみます。例えば、収益物件にしたいのか、それとも、まとまったお金をすぐに得たいのか、決めておくのが良いでしょう。

また、不動産の査定は、無料で行ってくれるところが多いので、複数社に頼みましょう。注意すべきは、その査定額で必ずしも売れるわけではないということです。最初は高く査定額を出していたのに、いざ、売り出してみたら、買い手がつかないから、価格を下げるなんてことは、あり得ます。ただし、買取りをしてくれる業者であれば、買取価格は事前にわかりますので、買取価格も提示してもらうことをお勧めします。買取りの場合、売買の仲介の場合よりも、価格は低くなる傾向はありますが、短い期間で確実にまとまったお金が手に入ります。

5.まとめ

不動産を相続した場合、思い入れのあるご実家などの場合、特に売却や取壊しを躊躇してしまいがちです。ですが、不動産の価格はゆっくりではありますが、変動しています。今が、売り時なのかそうでないのか、又、活用すべき方法にどのようなものがあるのかは、専門家に相談することをお勧めします。

金沢の「まるっと相続」では法律税務を含めて全般的な相続サポートを提供しています。お悩みの事項がありましたらお気軽にご相談ください。

この記事を書いた人

司法書士
山田達也(Tatsuya Yamada)
いきいき司法書士事務所所属

昔から、よく道を聞かれたり、知らない子どもに話しかけられたりしていました。

私の風貌が、人よりも少し、話しかけやすいのかも知れません。

相談される方が、何でも話しやすいよう心がけています。お話しをされた方が、すっきりしたお顔になったり、喜んでいただけると私も嬉しいです。お気持ちが楽になったら、専門的なアドバイスをさせていただきます。より専門的なアドバイスができるよう、複数の資格を取得しました。難しい問題の解決はおまかせください。

2005年司法書士登録、2017年マンション管理士登録、2018年行政書士登録、2019年宅建業登録。

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